マスクのレンズはどうして曇る?&その対策!

マスクレンズの曇りについて

ダイビング中に起こるマスクレンズの曇りについては、初心者や水が苦手な方にとってはトラブルの元ですので、たかがマスクの曇りと楽観視しないようにしましょう。
場合によっては、曇りに気づかず、視野が狭くなっていき、それが原因で別のトラブルに陥ってしまう可能性もあるのです。
あなたが一緒に潜っているバディがそのような状況になっていたなら、マスククリアを促すか、ガイドに教えてあげてください。
 

 
さて、そもそも、ダイビング中にマスクのレンズが曇るのはどうしてなのでしょうか?
その原因はいくつかありますが、大きいものは2つ。
まず1つ目が
マスクのレンズとマスク内の温度差による結露
です。
 
これは普段の陸上生活でも同じようなことは起こります。
窓ガラスを拭く際、窓ガラスに「はぁ~っ」と息を吹きかけたことがありませんか?
その際、少しの間ですが息を吹きかけた部分が曇ると思います。
これは「窓ガラス本体の温度と吹きかけた息の温度差による結露」によって曇っているのです。
このように、窓ガラスや眼鏡のレンズ、ダイビングのマスクのレンズの温度とそれに触れている物の温度差によって結露が起こるのです。
 

 
実際のダイビングシーンで言いますと、
ダイビング中にマスクのレンズは、レンズに触れている海水の温度とほぼ同じになっています。
そこにダイビングにまだ不慣れな方がやってしまいがちな「鼻呼吸」によって体温に近く暖かい空気が鼻からマスク内に出されると・・・(何も対策をしていなければ)その温度差によってマスク内に結露(曇り)が発生するのです。
潜っているところの水温と自分の体温を比べますと、体温の方が高いですからね。
 
このような結露を防ぐ手段が大きく2つ。
1つ目は当たり前ではありますが、
曇り止めを塗る事
 

 
そしてもう1つが
鼻呼吸を極力しない事です。
極力と記載はしましたが、ダイビング中はマスククリア時とマスクのスクイズの緩和時以外の常時です。
 
まず、大抵の方はダイビングをする際、何かしらの曇り止めをされていると思います。
曇り止めが効いていれば、ダイビング中にレンズの結露はまず起こりません。
しかし、ダイビング開始時は曇っていなかったのに、ダイビング途中でマスクのレンズが曇りだすという方は、鼻呼吸を少なからずしているのです。
そして当然ではありますが、レンタルのマスクは論外です。
レンタルのマスクは顔に合っていない場合や、使い古されてシリコンが硬化したり、変形したりして新しいマスクと比べてどうしても水が入り易くなります。
そうなると、マスククリアの回数が増え、それにより、せっかく塗っていた曇り止めがどんどん取れてしまい、曇りだします。
なので論外なのです。
自分に合ったマスクをしている方でも、鼻呼吸を必要以上にしてしまう事で、実はレンタルなどの顔に合っていないマスクに近い状態が起こってしまうのです。
 

 
マスクが曇る大きな原因とされるもう1つは
レンズについた油膜(被膜)
です。
これがあると、せっかくの曇り止めも効果が大幅減・・・。
 

 
少し業界の話にもなりますが、マスクを実際にお客さまが使用されるまでには
メーカーで製造 → 輸送 → ノリスなどのお店に届き、陳列(保管)期間があり → お客さまが購入 → 使用。
という流れになります。
 
この「製造」から「使用」までの期間は、当たり前ですがまちまちですよね。
 
実は、この期間が曲者でして
ダイビングマスクのスカート(顔などにひっつくゴムの部分)の素材、シリコン。
このシリコンが上記の期間で揮発してレンズに付着していくのです。
これがよくダイバーの言う新品マスクについている「油膜(被膜)」と言われるものの正体です。
 
この油膜(被膜)がある事で、そのまま曇り止めを塗っても、思った効果が発揮されないのです。
 
そこでよく行われるのが
「研磨剤の入っていない歯磨き粉で内側のレンズを磨く」
というものです。
しかし、これは意外と面倒なもので、油膜(被膜)を落としきるまでは複数回行う必要があります。
1回だけでは落としきる事はできません。中性洗剤も同様です。
さらに、上記のように揮発したシリコンは当たり前ですがレンズ以外のスカート部分にもついていますので、そちらも洗ってあげる必要があります。

 
そこで便利な物・方法を2つご紹介♪
①普段の生活でもお世話になったことがある方も多いのではないでしょうか。
 この方、激落ちくんです
 

 
 激落ちくんは、ご存知メラミンスポンジで、少し水を着けて磨くだけでOKです。
 基本「激落ちくん+水」で磨くだけでは傷はつきません。
 スカート部分も安心して洗えます。
 
シーバフ(SEA BUFF)
 

 
 これはダイビング専用グッズです。しかもマスクの油膜(被膜)を落とすだけの専用の液なのです!
 この液をつけてこするだけ。
 
そして、もちろんこの2つを組み合わせてもOK♪
シーバフをつけて激落ちくんで磨くというのが最適ですかね。
 
この作業は、新品使用前だけでなく、定期的にマスクのメンテナンスをされる際にも行われることをお勧めします。
スカート部分を洗う際は、ゴムなので傷つけないよう、ゆっくりこすりましょう。

 
これらがダイビングのマスクが曇る大きな2つの原因です。
ですので、マスクを曇らせないためには、
極力鼻呼吸をしないこと
が一番効果的だと言えます。
 
ちなみに、日焼け止めや女性の方などがされるお化粧、これも結露の要因の1つとも言われているので、ダイビング前にできる限り落とされてからエントリーされることをお勧めします。
上記の油膜(被膜)取りは、初使用前だけでなく、曇り止めが効きにくくなったと感じたら同じように行ってください。
毎回は不要ですが、定期的に行う癖をつけているとより良いでしょう。
 
余談ではありますが、新しい自分のマスクを手に入れた時に確認して頂きたいのが
レンズが曇り止め加工されている物か、そうではないものなのか。
通常のレンズは曇り止め加工されてはいませんが、度付きのレンズや何かしら加工が施されたレンズは曇り止め加工がされている場合もありますので、しっかり確認しましょう。
万一、曇り止め加工されているのを知らずに激落ちくんなどで磨いてしまうと・・・もったいない。
& 曇り止めお買い上げありがとうございます♪ となってしまいます(笑)
 

 
あと最近では、「曇り止めフィルム」なるものが登場しているメーカーもあります。
この曇り止めフィルムについては、大体のメーカーがその効果を50ダイブ程度としています。
ちなみに曇り止めフィルムについては、塩素の入ったプールで使用すると、その効果が短くなると言われていますので、ご利用の際はご注意くださいね。
 
冒頭にも書きましたが、マスクの曇りについては、初心者や水が苦手な方にとってはトラブルになる元ですので、たかがマスクの曇りと軽視しないでください。
そして、マスクの曇りについては、初心者や水が苦手な方に限ったものではありません。
ドリフトダイビングなどで水流に逆らわなければならない時や、水面移動が長かった後等、息が荒くなってしまった時はマスクは曇りがちになります。
また、水温と呼気の温度差が大きくなる冬季や寒冷地でのダイビングも要注意です。
これらを参考にマスクのトラブルに注意してダイビングを楽しんで下さいね。

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!

Let's Try! Cカード取得 2023年3月から全店 初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コースの人数限定キャンペーン開催!

ビギナー向け①【安全ダイバーを目指そう!】

安全ダイバーを目指そう

ダイバーになるための一番最初コース、オープンウォーターダイバーコースでは、ダイビングの基本テクニックや基本ルールを学びます。
そして次のコース、アドバンスドオープンウォーターコース(以下、AOWコースと略)では、遊びの幅を広げます。
しかしこのAOWコースの内容や受講後についても、安全面の知識や技術面ではオープンウォーターレベルと大差はありません。
 
そうなると遊びの幅が広がった分、それに見合った安全レベルが必要となります。
部分的にはスペシャルティコースでも学びますが、遊びの範囲が広がった
ダイバー向けの安全講習としておススメなのがレスキューダイバーコースなのです。
 

レスキューダイバーコースとは

PADIレスキューダイバーコース
 
レスキューダイバーコース・・・。
このコース名を聞いた時、第一印象としては
「しんどそう」
「人助けとかインストラクターさんが一緒に潜っているから必要ないし・・・」
「難しいんでしょ」

といったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。
 
PADIレスキューダイバーコース
 
確かに、講習ではシミュレーションではありますが実際に救助方法を実習で行います。
このコースではそれらを習得することも重要な内容の1つではありますが、
更に重要と言えるものを、学科や実習の過程で学ぶことできるのです
 
まず、このレスキューダイバーコースですが、
 
受講前資格は
① PADIアドバンスドオープンウォーターダイバー(もしくは他団体の同等レベルCカード保持者)
   ※厳密にはアドベンチャーダイバー以上ですがノリスではアドバンス以上としています
② EFR(エマージェンシーファーストレスポンス)コース受講済み者
です。
 
PADI EFR講習
 
ノリスでのEFR講習
 
※欲を言うと、PPB(中性浮力)が取れるようになっているとベターです。
 

レスキューダイバーになったらどうなるの?

ノリスでレスキューダイバーになろう
 
レスキューダイバーコースを修了すると
1. トラブルを未然に防ぐ能力が身につきます。
2. 緊急時の応急処置ができます。
3. 自分自身の安全性が高まります。
4. 他のダイバーを気遣う意識が高まります。
5. 負傷したダイバーの救助や、事故時の救命方法が身につきます。
6. 水中捜索方法がマスターできます。
 
という感じなのですが、既に目立たせておりますが、特に上記の1つ目が重要なのです。
 
色々なダイビングをしていて考えられる様々な小さなトラブル。
潜水事故はそんな小さなトラブルの積み重ねで起こります。
 
そういったトラブルについて、
「どういう状況になったらトラブルが起こる可能性が上がるのか」
「何がトラブルの原因に成り得るのか」等、
トラブルの元まで学びます。
 
ノリスでのレスキューダイバー講習
 
そうすることで、普段の何気ないダイビングでも、プレダイブセーフティチェック時からトラブルの元となる小さなイレギュラーを未然に防ぐ事が出来るようになるのです。
 
このように、トラブルを未然に防ぐ知識もあり、万一のトラブルが起こった際も最低限の対処・対応ができるダイバーを育成するのがレスキューダイバーコースです。
 
ですので、このレスキューダイバーコースは
「安全ダイバー育成コース」
とも言われているのです。
 
ちなみに実習で行うシミュレーションは、シナリオを組んで行いますので、やってみると意外と楽しい講習なんですよ。
自分だけでなく、周囲の一緒に潜るダイバーの為にも、ぜひ安全ダイバーを目指していただけたらと思います。

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末までダイバー応援記念価格 初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ちょっと得するダイバー豆知識 ②】新しいハンドシグナルはご存じ?

前回の内容【耳抜きのコツと練習グッズ】はこちらからどうぞ

新しいハンドシグナル

スキューバダイビングの入門コースと言える、PADIオープンウォーターダイバーコースでも学ぶ多くのハンドシグナル。
ダイバーの皆様はしっかり覚えていますか?
その中に2020年8月、新しいハンドシグナルが加わったことはご存知でしょうか?
ちなみにまだ、現在使用されているマニュアルにも未掲載です。
 
どんなハンドシグナルかと言いますと
「調子が悪い」「体調が悪い」です。
 
新しいハンドシグナル「体調が悪い」
 
指を(一本でも二本でも三本でも四本でもいいので)自分の方を向け、頭とおへそ辺りを通る感じに大きくサークルを描きます。
※サークルが小さいと、その部分(器材等)がおかしいと勘違いされる可能性もあります。
回す方向や左右のどちらの手という事は関係ありません。
 
ハンドシグナルの使い方の例で言いますと
「何か変だ」 → 「体調が悪い」 → 「浮上したい」 という感じで複数のハンドシグナルと組み合わせて使用します。
 
どうしてこのようなハンドシグナルが追加されたかと言いますと、
まず、ノリスでもそうですがダイビング前にメディカルチェックを行っているプロショップは多いです。
しかし、それはダイビング前だけの話であって、ダイビング中に体調を崩す可能性もあります。
そして実際、PADIの報告では、ここ最近起こったダイビング事故の約70%が、「ダイビング中の体調悪化」によるものだということです。
 
なので、こういった水中での体調変化に対応するために追加されたという事です。
ダイビング中に健康な方が急変することはほぼありませんが、高血圧や心肺に疾患があり、医師のOKが出た上でダイビングをしている方が「浸漬性肺水腫(しんしせいはいすいしゅ)」になったという事例があるそうです。
浸漬性肺水腫は、呼吸困難になる疾病の1つで、肺から酸素を上手く取り込むことができなくなることによる症状で、水泳やスキンダイビングなどでも起こり得ます。
ダイビングやスキンダイビングの終盤・浮上していくにつれ、環境圧は低下していきます。
それに従い肺胞腔内の酸素分圧が急に低下していき、呼吸がしにくくなり、場合によっては水面近くで意識を失ってしまうということもあるそうです。
素潜り前の過換気は当たり前ですが本来してはいけません。
素潜りを何回も続けてくと、体がと二酸化炭素を蓄積することに慣れてきます。
そうなると、もちろん長く潜れるようになるのですが、体はその分、より低酸素状態になっていきます。
ですので、素潜りでの潜水事故は潜り慣れた頃に起きる事が多いという事を知っておいてください。
 
浸漬性肺水腫の自身の疾患以外の原因としては、「寒さ」「締め付け」などがあり、これらにも注意が必要です。
無理をして適温でない海にウエットスーツで潜ったり、体に合っていないスーツを身に着けて潜ったりということも原因の1つとも言われていますので、必ず自分の体に合ったスーツ、そして真夏以外ではドライスーツを使用するようにしてください。

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ちょっと得するダイバー豆知識 ①-4】耳抜きのコツと練習グッズ

前回までの内容はこちらからどうぞ
【耳抜きのコツ - 前編】
【耳抜きのコツ - 後編】
【耳抜き練習グッズ - 前編】

耳抜き練習グッズ - 後編

前回紹介しましたオトヴェント。
一般ダイバーや旅行先で体験ダイビングをされて耳抜きがうまくいかず、現地の人に聞いてノリスにオトヴェントを求め、来店される方も年間数名おられます。
やはり、オトヴェントは知名度・お求めやすさ・実用性の全てにおいて一番重宝されている耳抜き練習グッズではないでしょうか。
 
さて、用途はオトヴェントとは若干異なりますが、ランニングコスト面だけで見ると、オトヴェントよりも安くなる耳抜き練習グッズを1つ紹介します。
その名もYearHopper(イアーホッパー)
 
イアーホッパーyearhopper
 
正式名称、「自己耳管通気装置」という堅苦しい名前で、こちらもオトヴェント同様、滲出性中耳炎を改善するための器具です。
どういうものかと言いますと、ボタンを押すだけで本体からコンスタントに一定量の空気を自動的に送り出してくれます。
その空気を鼻腔(鼻の孔)から耳管に送って耳管を開けるという仕組みです。
ですので、正直イアーホッパーに関しては、耳が抜けた感覚を理解するという用途としてはいいのですが、オトヴェントのように、「自分で息む強さを覚え、耳抜きをする感覚を掴む」ということまでは難しいでしょう。
 
イアーホッパーyearhopper
 
ただ、イアーホッパーには、オトヴェントの様にパーツ(バルーン)の使用回数制限はありませんので、人によっては継続して使用することで、耳管が開きやすくなり、耳抜きがしやすくなる可能性は大いにあります。
あと、ランニングコスト面ではオトヴェントよりも安くなるとは言いましたが、購入する値段が少し高めなのがネックです。
なので、一般の方は「お試しで・・・」と手を出すのは少し難しいと思います。
 
他に、耳抜き練習グッズではありませんが、
耳抜きに関連したアイデアグッズ(?)も合わせて紹介します。
 
1つ目はダイビングやスキンダイビング用の耳栓です。※通常の耳栓とは異なります。
耳栓に開いた特殊な通気口により、耳に感じる水圧の変化を緩やかにしてくれるものです。
ですので、この耳栓をしても耳抜きはしなければなりません。
 
ダイビング専用耳栓
 
これに関しては、耳抜きができる人が、耳抜きをするタイミングが遅れないように補助してくれるようなものと考えると良いでしょう。
ただ、人によっては、耳が抜けやすくなったと感じる方もおられるそうですし、人によっては、いわゆる耳栓をした状態で潜るので、気になってしまったり耳栓の方に違和感を感じてしまう方もおられるそうです。
サイズもあるので、購入の際はご注意を。
 
もう1つは「プロイヤーマスク(ドライイヤーマスク)」です。
耳に水が浸入しないように耳が覆われたパーツが付いた特殊なマスクです。
マスクのスカート部分と耳を覆っている部分(イヤーカップ)がホースでつながっており、マスク側からイヤーカップへ空気を送り込むことで、耳抜きをしやすくするというものです。
ですので、こちらも耳抜きをする必要はあります。
 
この2つに関しましては、あくまで耳抜きの補助グッズとしてお考えいただけたらと思います。
 
今回は耳抜きに関連したグッズを紹介しましたが、これらを使用する・しないに関わらず、無理は絶対に禁物ですよ。
何度も書きますが、ノリスを含めたダイビングプロショップのスタッフも、あくまでダイビングのみのプロであって、医者ではありません。
ですので、お客さまの耳抜きに関してアドバイスや上記のようなグッズの紹介はできますが、厳密な診療は当たり前ですができません。
どうしても判断できない、気になるという時は必ず耳鼻科へ行ってください。
悩んでいても何も変わりません。
行けば自分の状態がわかるわけですので、その情報をもとにプロショップのスタッフへ相談されると良いでしょう。
善は急げです。

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ちょっと得するダイバー豆知識 ①-3】耳抜きのコツと練習グッズ

前回までの内容はこちら
【耳抜きのコツ - 前編】
【耳抜きのコツ - 後編】

耳抜き練習グッズ - 前編

さて、前回までで、鼻のつまみ方、耳抜きのタイミングについて紹介してきましたが、
そうはいっても、なかなか耳抜きの感覚(バルサルバ法で言う、鼻をつまんで息む強さ)や、耳抜きができているという感覚が分からないという方も多い事でしょう。
 
そこで、ご紹介するのが、耳抜きの練習グッズとしておそらく一番有名な
Otovent(オトヴェント)です。(何か通販番組見たいですね。)
もちろん、ノリスで購入可能(店頭にない場合もお取り寄せ可能)です♪
 
オトヴェントotovent
 
元々は主に小さな子どもに見られる滲出性(しんしゅつせい)中耳炎(※中耳腔での炎症時に出る液体が、本来、耳管から喉の方へ流れるのですが、耳管が機能せず、中耳腔内にたまる中耳炎)を改善させるために開発されたものだそうで、それを理想的な耳抜きを身につけるための練習道具として用いているのです。
で、オトヴェントはバルサルバ法の、息む強さ(どれくらいの強さで空気を送りだしたらいいのか)やその感覚を習得する為のものです。
ですので、間違っても「耳抜きができるようになる道具」「耳が抜けにくいのを治す道具」ではありませんので、誤解が無いようにお願いします。
 
オトヴェントotovent
 
取り扱い方法は説明書に記載されていますが、どういうものかと言いますと、片方の鼻をふさいだ状態でもう一方の鼻で専用のバルーン(風船)を膨らませるというものです。
 
オトヴェントotovent
 
そのポイントとしては、
 
① 一気に息まないこと。鼻をかむ時のように息む力が強いと、鼓膜を傷める可能性が高くなり耳も抜けづらくなります。
  思い切り吸って、「フンッ!」としないように、少し息を吐き気味で、ゆっくり押し出す感じにするとよいですね。
 
② 適切なスピードで行う。大体4秒~5秒くらい(2~3秒で膨らませ、2秒膨らんだ状態を維持)に1回が目安。
  強く息むとバルーンは膨らみますが、それを実際にやってしまうと鼓膜を傷めるでしょう。そうならないためにこの時間が設定されているのです。
 
オトヴェントotovent
 
  膨らませる大きさの目安は「グレープフルーツ大」です。
  膨らませるスピードは、ゆっくり過ぎると通常の潜降スピードに間に合わないので上記のスピード位が望ましいです。
  膨らませている途中や、2~3秒膨らんだ状態を維持している途中で耳が抜ける音がしたとしても、所定の時間が来るまでは途中でやめないようにしましょう。
 
この2つをオトヴェントなしの状態でも再現できる様にする事が、オトヴェントを使用する最終目的なのです。
もちろん、水中にオトヴェントを持っていくことはできませんし、一度できたからと言って終わりというものでもありません。
 
※膨らませるバルーンについては、専用のものを必ず使用し、20回以上同じバルーンで練習を行わないことも知っておきましょう。
 市販の風船等を使ってしまいますと、適切な膨張圧力が足りない・強すぎるなどがあるので代用は禁止されています。
 
耳抜きの練習は陸上であっても反復練習しておくべきです。
1日どれくらい練習すればよいのか。もちろん、最初は数回で十分ですが、徐々にその回数を増やしていきましょう。
実際、1ダイブで行う耳抜きの回数を考えてみるといいでしょう。
ボートダイビングで考えると、おそらく1ダイブで20~30回くらいはしているのではないでしょうか。
それを1日2ダイブしたとすると、50~60回。3ダイブなら・・・。
 
オトヴェントで感覚をつかんだあとの練習は、理想を言えば、これくらいは練習したいですね。もちろん、無理は禁物ですよ。
ですが、上記に記載した通り、バルーンの使用回数制限があるので、何度も行うとバルーン(バルーンだけの商品もあります)がもったいないですよね。
なので、バルーンでの練習でできるだけ早く感覚をつかんでしまい、あとは手で鼻をつまんで実際にやってみる。上手くいけばそれで反復するようにしましょう。
 
この続きは【耳抜き練習グッズ - 後編】へどうぞ。
 

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ちょっと得するダイバー豆知識 ①-2】耳抜きのコツと練習グッズ

前回の内容【耳抜きのコツ - 前編】はこちらからどうぞ

耳抜きのコツ - 後編

さて、前回お話ししたように、上手く鼻をつまむ(鼻の孔をふさぐ)事が出来るようになったら、あとは耳抜きのタイミングです。
 
padi_ok
 
耳抜きのタイミングについては、PADIオープンウォーターコースの学科中や様々な場面で話がでますが、まず「痛くなってからでは遅いよ」という事です。
そして、こちらもオープンウォーターコースの学科で学びますが、水圧の変化は水深が浅いほど変化する割合が大きいという事です。
水深17mから18mへ行く時の圧力変化よりも、0m(水面)から水深1mに行く時の圧力変化の方が大きいという事ですね。
一般に、水深10mくらいまでが、耳抜きを頻繁にする必要があり、耳抜きが苦手な方にとっては要注意の区間(?)と言われています。
 
よく言われる耳抜きのタイミングと間隔は(あくまで耳抜きが苦手な方に向けた目安です)
① 潜降前に水面で一度耳抜きをする
② 水深5mくらいまでは、50cm毎に1回
③ 水深5m~10mまでは、1m毎に1回
④ それ以降は耳が痛くなる前、違和感を感じる前に早め早めに行う
というタイミングですね。
 
「途中までいい感じで耳抜きができていたのに、抜けなくなった」という方もおられるでしょう。
その対処はありきたりではありますが、まず、耳の痛みがおさまる深度までゆっくり浮上し、そこでもう一度耳抜きを試みましょう。
もし、片方の耳だけが抜けない場合も、同様に少し浮上して再度試みたり、抜けない方の耳を上に向けて(首を傾げる感じで)、再度試みましょう。
このようなことを何度かトライしても耳が抜けなくなってしまったという場合は、ガイドにそのことを伝え、指示に従いましょう。
間違っても自分だけで判断し、勝手に浮上することが無いようにしてください。
(耳に違和感がある時のハンドシグナルは覚えていますか?)
 
実際に水中で行う耳抜きに関しては、これからダイビングを始める方でしたら、オープンウォーターコースの限定水域講習をノリスは基本プールで行うので、そこで練習していく方が多いです。
特に、ノリス神戸舞子店のプールの様に、「はしご」がついているプールなら、自分のペースで潜降できるので、より安心ですよ。
 
はしご 耳抜き ダイビングプール
 
既にダイバーの方でも、リビューコースやビーチダイビングなどから(もちろんプールでも可)練習していく方法もあります。
ただ、前に書きました通り、水圧の変化は水深が浅い方が大きいので、人によっては、ビーチダイビングよりもボートからのロープ潜降の方が意外と楽という方もおられます。
 
当たり前ですが、耳が痛いのに我慢して潜ったり、耳が抜けないからと言って思いっきり息んだりしてしまうと鼓膜を破ったり、傷つけたりしてしまいかねませんので、無理は禁物ですよ。
 
どうしても耳抜きができないという方に関しては、耳鼻科で診療していただく事を強くお勧めします。
決して自分で判断しないことです。私どもダイビングプロショップのスタッフも医師ではありませんので、そこは必ず医師にの診断を受けてください。
 
しかし、以前の「耳抜きとは」でもお話ししました、陸上で出会う耳抜きのシーンで、耳抜きができている人や、耳鼻科で耳管機能に問題が無いと診断された人は、水中でも耳抜きをすることが可能なはずです。
もちろん陸上とは環境が違いますので、前回と今回で紹介したいくつかの方法で試してみてください。
鼻のつまみ方と同様に、ご自宅でマスクをつけて練習するのも良いでしょうし、そのままお風呂(マスクのゴムに良くないので熱すぎないように)で練習というのもいいですね。
そうやって、まず何より正しい耳抜きの仕方を覚えていく必要があります。
 
この続きは【耳抜き練習グッズ - 前編】へどうぞ。
 

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ちょっと得するダイバー豆知識 ①-1】耳抜きのコツと練習グッズ

前回の内容【どれくらい潜ったら上手くなるの??】はこちらからどうぞ

耳抜きのコツ - 前編

以前、耳抜きについてお話ししましたが、まだ読まれていない方は先にそちらを読んでからこちらの内容をご覧頂けたらと思います。
 → → 【ダイバーになろう ⑤】耳抜きとは はこちらをクリック ← ←
 
ダイビング耳抜き
 
今回はこれからダイビングを始めようとされている方だけでなく、実は既にダイバーになった方でも意外と多い「耳抜きに関するストレスや不安」について、「耳抜きのコツ」としていくつか紹介をしたいと思います。
そしてなかなか耳抜きが上手くできない、感覚がつかめないという方に向けての「耳抜き練習グッズ」も後半にいくつか紹介します。これらを計4回に分けて紹介していきますね。
 
さて、耳抜きの仕方ですが、「バルサルバ法」「トゥインビー法」「フレンツェル法」等が代表的なものとしてはあります。
まず、その特徴(耳抜きの仕方)について紹介したいと思います。
 
バルサルバ法:一番オーソドックス(?)な方法。鼻をつまんだ状態で鼻をかむような感じに息む方法です。鼻をつまんで「フンッ!」と息むのですが、強すぎるとだめですよ。
 
トゥインビー法:鼻をつまんだ状態で唾を飲み込む方法。ただ、ダイビング中は唾が出にくいので水中では使用しにくいですが、潜る前の水面で有効な方法です。
 
フレンツェル法:少し分かりにくいかもしれませんが、鼻をつまんだ状態で、舌の根元の方を上あごの方へ持ち上げるようにする方法です。
 
これら3つの方法に共通する「鼻をつまむ」という行為ですが、「陸上では耳抜きができる・できているのに、水中ではできない」という方は、上手く自分の鼻をつまむことが出来ていない可能性があります。
どうしてかと言いますと、まずダイビングのマスクは「鼻」の形にジャストフィットではありませんよね?周囲に余分な空洞があると思います。
 
ダイビングマスク フード
 
そして、一般的に「鼻をつまんでください」というと、顔の前方や前方斜め下くらいから手を鼻の方に持っていき、鼻をつまむと思います。
そうした時、陸上では問題なく鼻をつまむ(鼻の孔をふさぐ)事が出来ていたとしても、ダイビングのマスクを装着した状態では、マスクに空洞部分がある事で、人によってはマスクのノーズポケットの途中で鼻をつまんでしまい、結果、鼻をつまみきれていない(鼻の孔をふさぎきれていない)場合があるのです。
 
では、どうすればよいのか、どうすればマスクをつけた状態で上手く鼻をつまむことができるのか。
それは、マスクの下側から鼻をつまむのです。
両手の人差し指を使ってノーズポケットを両側から挟むようにする方法もありますが、ダイビングで一番最初にやってくる耳抜きのタイミングである潜降時には、ボートダイビングでは潜降ロープを持ちながら降りていくと思いますので、両手を自由に使う事はなかなかできません。
そう考えると、前者の方がベターでしょう。
 
ただ、マスクをつけた状態で鼻をつまむことができているかどうかを、いざ、本番のダイビング時、水中で・・・となると特に耳抜きが苦手な人にとっては分かりにくいです。
ですので、まず、陸上(自宅)でマスクをつけて鼻を確実につまむ練習をし、感覚を掴みましょう。
耳抜き自体が問題ない方については、陸上でマスクをつけた状態で耳抜きの練習をするとより効果的です。
 
この続きは【耳抜きのコツ - 後編】へどうぞ。
 

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ダイバーになろう ⑪】どれくらい潜ったら上手くなるの?

前回の内容【ダイブコンピュータは必要?】はこちらからどうぞ

どれくらい潜ったら上手くなるの?

この質問、意外と多くいただきます。
そして、浮力コントロールがなかなか上手くいかないのですが、あと何回くらい潜ったらできるようになれますかね?という質問も。
しかし、具体的に「●回潜ったらできます、上手くなります」と言い切る事はできません。
 
中性浮力
 
実際、経験ダイブ本数が50本の方が3名おられたとして、1名の方はダイビング歴1年間で50本、2人目の方はダイビング歴10年で、1年間に5本潜るだけという方。3人目の方はダイビング歴5年ですが、OWを取得した初年度に50本潜り、そこから4年間潜っていないという方。
この方々を経験本数50本のダイバーとして、ダイバーのレベルが同じとひとくくりにできるのか?
 
皆さんがお考えいただいても同じ答えだとは思いますが、もちろん「ひとくくりにできませんし、レベルも違います」。
これはダイバーレベルに限ったものではなく、浮力コントロールやコンパスナビゲーション、水中写真等様々な内容についても同じ事が言えます。
ですので、ここでは、出来る限り最短で上手くなる方法を紹介したいと思います。
 
<目次> ※目次から気になる内容へジャンプができます
 ・実は勉強と同じ!?
 ・ダイビングの「上手い」というレベル
 ・ライセンス取得コース修了後の実際のレベル
 ・ダイビング上達の最短距離
 ・ダイビングが上手くなるために必要なこと
 ・ダイビングってやっぱり難しいの?

 

実は勉強と同じ!?

「どれくらい潜ったら上手くなるのか?」この答えは「1日何時間勉強したら賢くなるのか?」と同じような答えになります。
 
よく「1日何時間勉強したら賢くなるのですか?」というような内容の話を日常の会話やTVなどで見聞きしたことはあると思います。
そしてこの質問に対して、よく言われる答えが、「時間ではなく勉強の仕方だ」「●時間勉強して賢くなるなら誰もがそうやっている」というものです。
もちろん、長時間勉強することでテストの点数が上がる方もおられますが、正直それでは効率が悪いですよね。
そして勉強ができる人に限って、そこまで時間をかけて勉強をしていないということも言われます。いわゆる、効率が良いのです。
 
この「効率」 = 「勉強法」が、一番差の出る部分なのです。
勉強は本来、学校で皆さん同じことを教わるので、理解度は別としてその時点での基本知識はほぼ同じです。
差が出てくるのはそのあとです。
日々の宿題をきちんとやっているか、復習をして習熟度を高めているか、(塾や自宅などで)応用問題をしているかなどです。
(もちろん、学校での授業の聞き方や要点のとらえ方によっても差はでてくるのですが・・・)
そういった学校の授業以外で行う「勉強法」については、朝と夜なら朝の方が良いという事や、同じ科目を長時間続けて行うより、一定時間ごとに科目を切り替える方が脳科学的にも勉強効率が良い、というようなものがいくつかあります。
これらを継続していくことが、成績UP = 賢くなるための近道になります。
 
1. 学校で様々なことを学ぶ
2. 復習を繰り返すことで習熟度を高め、自分の中に落とし込む
3. 進学先(小 → 中 → 高)で上の1と2を繰り返す
4. 社会に出た時に今まで学んだことを活用する
 
というような感じですね。

これらが、ダイビングにも当てはまるのです。
 

ダイビングの「上手い」というレベル

ダイビングと聞いて誰もがイメージする、「水の中を優雅に・自由に泳ぐ」ということ。
口では簡単に言え、頭でも簡単にイメージできるのですが、これがなかなか思い通りにはできません。
 
PADI中性浮力コース
 
ご存知の方も多いとは思いますが、教材にも載っている通り、スキューバダイビングは「器材中心型スポーツ」と言われています。
器材 = 道具を使うスポーツは多々ありますが、それらをプロまではいかなくとも、「上手い」と言えるレベルまで、数回・数日しただけで到達できるスポーツはありませんよね。
ゴルフで例えてみても、TVで見るような選手のフォームをイメージしてクラブを振るものの、最初はボールに当てる事すら難しいでしょう。
まして、クラブをボールの芯に当てて思い通りの方向へ安定して何度も飛ばす事は数回、数日ではできません。
 
これはダイビングも例外ではありませんし、先に述べた「水の中を優雅に・自由に泳ぐ」ことは、いわゆる「上手い」部類に属します。
 
そして、ダイビングは陸上ではなく「水の中」で行います。
水の中は陸上と比べ、ただでさえ動きにくく、自分の姿勢もどうなっているのかがわかりにくいです。
自分がどこにいるのか・どこから音が鳴っているのか等の方向感覚や距離感も同様に分かりにくいです。
その上、沢山の器材を身に着けます。
そしてそれらの器材を上記のような不自由な水の中で思い通りに操作しなければならないのです。

そう考えると、ダイビングで言う「上手い」レベルに達するのが簡単ではないという事がお分かり頂けると思います。
 

ライセンス取得コース修了後の実際のレベル

一般的に言われるライセンス取得コース=オープンウォーターダイバーCカード取得コースですが、このコースの実技は、世界最大のダイビング指導団体PADIでは5回です。
 
PADIオープンウォーターコース
 
オープンウォーターダイバーの認定を受けると、現地のサービスを通じれば世界中の自分が海洋実習をしたところと同じような海で潜ることができます。
そこで勘違いしてほしくないのが、あくまで「同じような海で潜ることができるだけ」ということです。
自分のレベルに合っていない海に潜ることだけはできたとしても、そこに安全は約束されていないのです。
そしてもちろん、そんなレベルに合わない海に潜ったとしても楽しいわけがありません。
 
あなたは、たった5回の実習(水中)で沢山の器材を使いこなし、それらを思い通りに使いこなし、イメージ通りに泳いだり浮いたり沈んだり止まったりすることをマスターできると思いますか?
もしあなたがオリンピックに出ることが出来るような競泳の選手で、普段から素潜りもしていて、体験ダイビングも複数回こなしているのでしたら、この5回の実習で「水中を優雅に・自由に泳ぐ」ことだけなら、可能かもしれません。
ですが、それ以外の一般の人にとって、それは正直、無理です。
更に言うなら「水中を優雅に・自由に泳ぐ」ことができたとしても、単にそれができるだけなのです。
万が一のトラブルや、一緒に潜っているバディ、メンバーの事を考えると、先にも述べました通り「安全は約束されてはいない」のです。
 
PADIダイビング
 
その上、海の中はプールの様にいつも透き通っていて、波も全く立たない、流れが全くないというところはありません。
ですので、一度できたからと言っても環境が変われば外的ストレスからできなくなる事もあるので、しっかり経験を重ね、安全面も含めてしっかり理解し、着実にマスターしていく必要があるのです。

ダイビングは一人の身勝手が周囲のダイバーをも危険にさらしてしまうという事を忘れないでください。
 

ダイビング上達の最短距離

先の勉強の例に合わせて表現しますと
 
1. ダイビングスクールで正しい(オープンウォーター)講習を受ける
2. 学んだスキルをツアーなどで実践し、自分のものにしていく
3. 継続教育を受け、ツアーで実践。できるだけ間隔をあけず2と3を繰り返す。
4. 一人前のダイバーに。水の中を優雅に・自由に泳ぐこともできるようになり、安全も約束される
 
という感じになります。
 
PADIライセンス取得学科
 
ダイビングで特に重要なことは、正しい講習を受けた上で実践を繰り返すという事です。
特にオープンウォーターコース以降の内容について、我流でやろうとしたり、プロではないダイバーからの助言に従ってしまうと、間違った覚え方や変な癖がついてしまい、上手くなるまで遠回りになってしまいます。
最悪、上手くならないということもあり得ます。
変な癖がついてしまっては、あとから正しい講習を受けたとしても、習得までは通常以上に時間がかかると思ってください。

小さい頃からの癖を大人になってから直そうとする大変さを思い浮かべていただけるとご理解いただけると思います。
 

ダイビングが上手くなるために必要なこと

これまでの内容を含め、上手く潜れるようになるために必要なことは
 
① 正しい知識・技術をしっかり学ぶこと
② 得た知識・技術をコンスタントに実践する場(ツアー)がある事
③ それらを応用する場(海)・ツアーの行先が複数ある事
 
です。
これらはどれか1つが欠けてもいけません。あえて1つ付け加えるなら自分の体に合った器材でしょうが、それはここでは省きます。
 
例えば「浮力コントロールをマスターしたい!」としましょう。
 
PADI中性浮力
 
浮力コントロールをマスターする為の手段を、上の①~③にあてはめますと
① オープンウォーターコース認定以降、早い段階でPADIの講習の中にある、中性浮力のスペシャルティ(PPB)コースを受講する。
② (プールで練習をしたりして)海で実践を繰り返す。
③ 色んな海・ダイビングポイントで応用。
です。それぞれを詳しく説明しますと、
 
① (※先に断っておきますが、これはコースの宣伝ではありません。)
  浮力コントロールをマスターすることは、ダイバーにとって必須のスキルと言っても過言ではありません。
  このような大切な内容を我流でやってしまったり、「潜れたらOK」のようになってしまってはいけません。
 
  「中性浮力が取れる」=「ホバリング(中層でピタッと止まること)ができる」ようなイメージをされる方は多いと思います。
  もちろん、ホバリングができることは、理想とする達成条件の1つでもあります。
  まずホバリングを含めた、多くの浮力コントロールに関係する事(潜降・浮上時の速度コントロールや、砂などを巻き上げないためのフィンワーク、BCDやその他器材の使い方、他多数)をウエットスーツ時・ドライスーツ時両方でできるようになる必要があります。
  その上で、安全を考慮し、場面場面でそれらを使い分ける事ができて初めて浮力コントロールをマスターしたと言えるのです。
  決してビギナーダイバーの前で格好をつけようとして、うねり・流れのある状況の中、ロープを持たずにフリー浮上して、コンピュータをピーピーならすようなことはあってはなりません。
 
PPBコース
 
② これはプールだけでは不十分です。ノリス神戸舞子店にもプールがあるのですが、プールでできたとしても、実際の海でできるという事ではありません。
  たまに「自社プールがあるので練習し放題!」と謳っているところもあるようですが、そこに記述されているようにあくまで「練習」です。
  プールだけでできても意味がありません。実際に潜るのは海(たまに湖や川)です。ウエイト量も違って来ますし、天候や海況等の外的要因からくるストレスで、プールでできたことが海では上手くできない。これはよくあることなのです。
  もちろん、全くプールで練習せずに海に行くよりは、プールで練習をしておいた方がいいでしょう。
  ただ、いつまでたってもプールで・・・という考えは捨て、ある程度できたら海で実践をし、そこで新たな課題が出たのなら、それに対してプールなどで再度練習をするようにしたらいいですよ。
  そしてコツをつかむまではできるだけ潜りに行く頻度を上げ、感覚を掴んでしまいましょう。
 
③ 「ダイビングショップを選ぶコツ」の話でも出ましたが、ツアーとして潜りに行っている回数自体が少なく、行先が数か所しかないダイビングスクールがよくあります。
  ( ダイビングショップを選ぶコツ へはこちら→ 前編 / 後編 )
 
  行き慣れた海で浮力コントロールがバッチリできたのなら、違う海・違うポイントでも浮力コントロールできるか実践していきましょう。
  ビーチダイビングではできるがボートダイビングではどうか、水底付近ではできるが中層ではどうか、底が見える状態ではできるがドロップオフの様に底が見えない場合はどうか、流れが無い状態ではできるが流れのある海ではどうか、ということですね。
 
ダイビング浮上
 
  そして、ウエットスーツではできるがドライスーツではどうかもお忘れなく。
  もちろん、自分のレベルにあっていない海では実践しないようにしてください。

  例えば、浮力コントロールが完璧でない上、ドリフト講習をしていないにもかかわらず流れのある海で実践しようとする。これはNGですよ。
 

ダイビングってやっぱり難しいの?

こういった話を聞いてしまうと「ダイビングって難しそうだなぁ」「私にはできるのだろうか」と深刻に考えてしまう方もおられるかもしれませんが、そこはご安心ください。
最初からできる人はいませんし、その為にノリスのようなダイビングスクールがあるのです。
初めて海に潜っただけで楽しいという方もおられますが、もっと上手くなって自由度が増すと、その楽しさは何倍にもなるのです。
これは何においても同じですよね。
 
ギンガメアジの群れ
 
とあるスポーツを始めた時、最初はしているだけで楽しい。でももっと上手くなりたい、●●ができるようになりたいと思い、練習をすると思います。
その間、練習が辛かったり、思い通りにいかずイライラしてしまったりすることもあるでしょう。
 
しかし、それを乗り越え、マスターした時には、最初の頃以上の楽しさを味わう事ができるのです。
勉強でも同じですよね。そしてダイビングでもそれは例外なく同じなのです。
 
唯一、勉強や一般的な陸上のスポーツ(先にの挙げたゴルフやテニスなど)と違うのは、自分のレベル以上のダイビングには危険が伴うという事です。
なぜなら、ダイビングの活動の場が水中だからです。
そして忘れてほしくないのが、何度も書きますが一人の身勝手な行動が一緒に潜っているダイバーをも危険にさらしてしまうということです。
 
バディ潜水
 
ですので、ダイビングはライセンス(オープンウォーター)を取っただけで、決して満足をしないでください。
そこがダイビングのスタートラインなのです。
たまに、ノリスに初めてご来店いただくお客様で、「友人にオープンウォーターダイバーの友人がいて・・・」という方がおられるのですが、申し訳ありませんが、安全レベルとしてはまだまだですし、オープンウォーターのレベルで楽しまれている方は、ダイビングの楽しさのうちの氷山一角しかまだ体験されていません。
もちろん、それでも「楽しい」と言われているのです。
ですが、先ほどから紹介しております通り、ダイビングの楽しみはまだまだこれからです。
せっかくオープンウォーターを取得し、そのままの状態で「楽しかった」というのでしたら、それ以降のもっと楽しい世界を楽しんでいただきたいです!
 
ジンベエザメ
 
もしあなたが具体的に潜ってみたい海、見たい生物がいるのなら、自分や一緒に潜っている他のダイバーを危険にさらさないためにも、そこに行き、安全・快適にダイビングする為に必要なことをマスターしてから行って下さい。
その目標が遠いものだとしても、その間にいくつかの途中目標を設定することで、最終目標に到達できるはずです。
ダイビングのスキルは単体で成り立っている物は少なく、他のスキルと何かしら関係している物がほとんどですので、途中目標も結構簡単にたてる事ができますよ。
このあたりは、ノリスのようなプロショップのスタッフにご相談くださいね。
 
さて、次回からは、これからダイビングを始める方だけでなく、始めて間もない方へ向けた「ちょっと得するダイバー豆知識」を紹介していきます。
その第一回目は、「耳抜きのコツと練習グッズ」の紹介をしたいと思います。やはり耳抜きというのは、ダイビングをこれから始めようと考えている方、既にダイバーだという方共通の大きなキーワードになっています。
以前、耳抜きについて紹介しましたので、その延長という形です。
 
ちょっと得するダイバー豆知識【耳抜きのコツ - 前編】はこちら。← ← クリック

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ダイバーになろう ⑩】ダイブコンピュータは必要?

前回の内容【ダイビングのスーツについて】はこちらからどうぞ
 
ダイブコンピュータってあった方がいいの?
先に答えを言ってしまうと、絶対にYesです。
おそらく、どのプロショップや現地サービスのスタッフに聞いても「あったほうがいい」「必須」という答えが返ってくると思います。
更に加えるなら「ダイブコンピュータはひとり一台で!」です!
もし、違う答えが返ってくるようなら、以下の内容を読んでいただき、ご自身で判断してください。
 

 
ダイブコンピュータの役割
そもそも、ダイバーでしたらダイブコンピュータ(通称:ダイコン)という名前は耳にすると思いますが、まずはどういった役割・機能があるのかを簡単に知っていただきたいと思います。
 
ダイブコンピュータの役割には大きく分けて
①安全管理
②不安要素軽減

の2つがあります。
 
①の安全管理、こちらがダイブコンピュータのメインの役割です。
(少し難しい話になりますが、既にダイバーの方は理解できる内容だと思います)
その最大の目的は、体に窒素をためすぎないこと=減圧症のリスクを軽減すること です。
 
減圧症を簡単に説明しておきますと、
ダイビングはシリンダーに入った空気を吸って行います。空気なので含まれる最大のものは「窒素」ですね。
この窒素、圧力がかかればかかるほど、体内に溶け込みやすくなります。
そして窒素は酸素の様に体内で消費されず、吸収もされないので、浮上と共にゆっくり体外に排出されます。
しかし、長時間深い場所でのダイビングをすると、その分体内に溶け込んだ窒素量も多くなるので、浮上の際に排出しきれず、体内で気泡化してしまいます。
浮上速度が速い場合でも同様に気泡化し得ます。
その気泡が神経などを圧迫して関節の痛みやしびれなどを引き起こします。これが減圧症です。
 
では、そんな減圧症にならないようにするためにはどうすればよいのか?
それは最低限として「無減圧潜水」を行う事です。
そんな減圧症のリスクを軽減するための無減圧潜水を行うために不可欠なものがダイブコンピュータなのです。
 
安全管理での機能がもう1つ。それは浮上速度警告です。
ダイビングではエグジットに向けて当然浮上していきます。
先の減圧症の話でも少し出ましたが、浮上の際の速度が速すぎると体内で窒素が気泡化する可能性があるため、各指導団体で「安全浮上速度」が決められています。
ダイブコンピュータには一定速度を越えた浮上を行うと、警告音(ピーピーピー)が鳴る機能がついたものが多いです。中には振動してくれる機能がついているものもあります。
そしてダイバーはもちろんのことですが、この警告音が鳴ったら、すぐに浮上スピードを落とさなければなりません。
ただ、水中は音が聞こえる方向が分かりにくいので、そんな場合は自分のコンピュータを見て、速度超過の警告表示が出ていないかを確かめましょう。
(自分が持っているダイブコンピュータにどのような表示が出るのかは予め知っておきましょう)
そして、浮上速度の調整ができない方(浮力コントロールができない方)は、無理してフリー浮上せず、しっかりロープを持ちながら浮上してくださいね。
自分のレベル以上の事はしない、それもダイビングで安全を確保するための大切な所ですね。
 
ダイビングロープ潜降
 
②の不安要素軽減の内容については、個人差こそあるものの、簡単なお話です。
 
潜っていて何かふと(小さなことでも)不安・心配になる事、ありませんか??
例えば
・寒い、早くあがりたい
・残圧(空気の残量)が心配
・トイレに行きたい、あと何分潜るの?
・どこまで深く潜るんだろう・・・。
といったケース、これらは自分のダイブコンピュータがあることで大幅に不安が軽減されるのです。
 
まず、ダイビングでは潜る前にブリーフィング(これから潜るポイントや見られる生物、ダイブプランの説明会の様なもの)がおこなわれます。
ダイブプラン=潜水計画では「最大水深・予定潜水時間」も伝えられます。
コンピュータの基本的な表示には、現在の水深・最大水深・潜水経過時間等があるので、ブリーフィングで聞いた内容と潜っている最中にコンピュータに表示される内容を確認することで不安が軽減されるのです。
 
上であげました
寒いやトイレといった「早くあがりたい」と思っている時には、予め潜水予定時間がわかっているので、コンピュータに表示される潜水経過時間を見たら、あと何分潜っているかが大体わかります。
※寒いというのはインナーやフード、スーツの性能等の準備面によるものが多いので、こうならないのがベターです。
 
残圧も同様に不安は解決されると思います。
もし、ガイドに残圧を知らせてもバックアップ空気源をくれない、戻ろう(浮上しよう)としない場合は、このダイビングで経過してきた深度・時間とあなたの残圧から、バックアップ空気源を渡さなくても問題なくエグジットできるということをガイドが判断したということです。
 
そして深さの不安。天候や透明度によって、いつもより深く・暗く感じ不安になる事もあるでしょう。
そういう時は、まずコンピュータの最大深度をチェック。ブリーフィングで聞いた最大水深と比べてみましょう。もし予定していた最大水深付近なら、それ以上深くへ行くことはほぼないでしょう。
それでもどうしても深い・暗いのが怖い場合はガイドに申告しましょう。
※日中のダイビングでも、視界不良を考えたり、ディープポイントに行く際は水中ライトを持っていくと、こういった不安は軽減されます。
 
ダイブコンピュータは潜水前に潜水計画をたてることができ、
その上で、ダイブコンピュータを装着している本人だけのNDL(無減圧潜水時間)をエントリーから、潜ってきて今その時間・深度でわかりやすく表示してくれるのです。
 
なので、「ガイドだけがダイブコンピュータを持っていたらOK」とか、「ダイブコンピュータを持っているバディに合わせて潜るから大丈夫」というものではないことはお分かりでしょう。
エントリーから今その瞬間に至るまで、全て同じ時間と深度をたどってくることは不可能だからです。
 
また、NDL(無減圧潜水時間)の表示については、メーカーによって違いがありますし、DECO(減圧停止)の表示も違います。
ダイビングでは最低限このNDLが「0」にならないような潜り方を(計画・実行)すべきです。
 
ダイブコンピュータのレンタルを用意しているショップや現地サービスもありますが、コンピュータの見方・使用法についてまで教えてくれるところはほとんどありません。というか潜る直前にそんな時間がありません。
他のレンタル器材同様、「はい、これを使ってください!」と渡されるだけです。
そんな状態でダイブコンピュータを装着しても、それは単にログ付けや深度確認の為だけの用途であって、安全管理面としては全く意味がないのです。
場合によっては、前(前日)に使用した方のデータが残っていて、正しくNDLが計算されないということもあります。
また、休憩中に入れ替わってしまうというリスクもありますので、やはり自分だけのものがベストです。
 
ダイバーはCカード取得後は自己責任の下、ダイビングを行います。ということは減圧症の対策も自己責任です。
その為にも、自分のダイブコンピュータが必要ですし、その使い方・表示内容を理解しておく必要があるのです。
 
こういったことから、ダイブコンピュータはダイバーひとり一台必要なのです。
 
最後に1つだけ、ダイブコンピュータをつけている=減圧症にならない という過信的な認識は持たないでください。
あくまで一般的なので、窒素が溶け込む飽和量については個人差がありますので、余裕を持った潜水計画・ダイビングを行うように心がけましょう。
 
余談ではありますが、特にダイブコンピュータについてはプロショップでの購入をお勧めします。
量販店やネット通販で購入される場合は、逆輸入品の場合があります。
表面上はなんら変わりがなく、見分けがつきません。しかし、メンテナンス時にはコストが3倍ほどになるので、値段だけで飛びつく事はしないようにしましょう。
 
さて、次回は「どれくらい潜ったら上手くなるの?」 です。← ← クリック
 

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2022年2月末まで初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。

プロが教える【ダイバーになろう ⑨】ダイビングのスーツについて

前回の内容【ダイビング器材は買わないとだめなの?】はこちらからどうぞ
 
※以下の内容には体感温度や体格・体型により個人差がありますので、あくまで「一般的には」ということを念頭に置いてお読みください。
 
ダイビングスーツ
ダイビングのスーツは大きく分けて2つ。
1つはウエットスーツ
皆さんがよく目にする・ダイビングでイメージするスーツです。
もう1つがドライスーツです。
簡単に言えば防水スーツですね。
 
ウエットスーツは、文字通り体は濡れるので水着の上に着用します。
日本近海では「真夏」のみ使用するスーツです。
ドライスーツは、文字通り体が濡れない(首から上と手首から先は濡れます)スーツで、インナーと呼ばれるものを下着・肌着の上に着てその上に着用します。
もっと簡単に言えば、スーツの中に「服」を着ていると思ってください。
このドライスーツは日本近海では「真夏以外」の長期間使用します。
 
ダイビングスーツのいくつかある大切な役割の中で、大きな2つが「ケガの防止」「保温」です。
※他に「浮力」などがあります。
更にこの2つの中でより重要なのが、「保温」です。
そして、この「保温」については、マイスーツとレンタルではとても大きな差があるのです。
 
そもそも、皆さんの平熱は何度ですか?・・・大体35度後半~36度前半くらいでしょう。
では、潜る所の水温は?・・・真夏でも、36度あるわけないですよね。
どれだけ高い所でも体温よりも5度以上低いはずです。
ダイビングはそんな所、しかも水面付近の日光で温められたところではなく、深ければ光が届かない所まで潜るわけです。
ですので、ダイビングスーツの「保温」という役割はとても大きいのです。
 
<目次> ※目次から気になる内容へジャンプができます
 ・ウエットスーツの保温の原理
 ・サーフィン用のスーツは使えない?
 ・スーツの値段差は何??
 ・ドライスーツの保温の原理
 ・ドライスーツを夏場に買う人が多い理由
 ・ネオプレーンタイプドライスーツの特徴
 ・シェルタイプドライスーツの特徴
 ・スーツのお供?たち

 

ウエットスーツの保温の原理

自分の体に合うようにオーダーで作ったウエットスーツは、体とスーツの隙間に侵入した水をできるだけ逃さないようにし、その水を体温で温め、保温するという仕組みで快適さを保ちます。
これがサイズの大きなレンタルスーツだとしたら・・・体とスーツの間に水が留まらず筒抜け状態に。
そうなると、どんどん体温が奪われていき、快適とは程遠い状態になってしまいます。
海外のリゾート地のレンタルスーツは日本人からするとサイズが大きいものが多く、特に華奢で小柄な日本人の女性に合うものがレンタルとして準備されているところは少ないです。
逆にサイズが小さいものはと言いますと・・・もちろん、動き辛かったり、圧迫されて息苦しかったりなどで問題外ですよね。
 
体験ダイビング
 
ですので、マイスーツを買うとしても、既成サイズで買ってはその良さは活かされません。
フルサイズオーダーで作らないと意味がないのです。
皆さんは何か「サイズオーダー」で作ったものをお持ちですか?その際、何か所くらい採寸されましたか?
ダイビングのスーツ作成時の採寸箇所は30カ所以上です。
ダイビングは水中という陸上とは違った非日常的な環境下で行うので、「より体に合ったものを」ということで採寸箇所も多くなるのです。
それにより、例えば足の長さが同じだったとしても足の付け根から太もも、ふくらはぎ、足首の太さや膝関節の位置などまで全て一緒という人はなかなかいないでしょう。
30カ所以上の採寸を行う事で、そういった細かい部分まで自分用にカスタマイズされるのです。

ちなみに、大抵のメーカーの既成サイズスーツとフルサイズオーダースーツの差額は約1万円です。
 

サーフィン用のスーツは使えない?

ダイビングを始める際に、「サーフィン」などの水面スポーツ・レジャーもしていて「スーツを持っています!」という方がたまにおられますが、こういったスーツはダイビングでは正直使えません。
 
どうしてかと言いますと(いくつか理由はありますが、わかりやすいものは)、上に述べた通りダイビングは光が届かない所まで潜る訳ですから、スーツそのものの厚さが水面レジャーとダイビングとでは違うのです。
水面レジャーは1~2mmのものが多く、薄すぎて保温の意味を成しません。
ダイビングは常夏のリゾート用の薄いもので3mm。
それ以外の地域の夏場なら平均5mm(ノリスでは5mm以上のスーツを作られる方がほぼ100%)。
更にそれ以上の厚みのものも多くありますし、人によっては水着の上にUV用にラッシュガードを着たり、ベストを着用してからウエットスーツを着る方も多いです。
最近では2ピースではなく、3ピースのウエットまであるくらいです。
そうなれば、最厚部分は10mmをこえます。
※この生地の厚さはスーツ自体の耐久年数にも関係してきます。
 

 
たまに雑誌やリゾートでみかける半袖タイプの様に露出部分が大きいスーツについては、中性浮力をマスターしていない初心者のうちは、ケガの観点からお勧めしません。

もちろん、カメラをされる方については、肘などをつくケースも出てくることが想像されますので、カメラ派ダイバーについても同じですね。
 

スーツの値段差は何??

ウエットスーツを例に出しますと、生地厚でも値段差はもちろんあるのですが、フルスーツ(長袖長ズボンのワンピースタイプ)の5mmで見ると、メーカーにもよりますが約5万~約15万まで差があります【参考メーカー:ワールドダイブ】。
これだけの金額差がどうして発生するかと言いますと
①使われている生地の違い
②パネル数
③耐久年数
(※一部)
等があります
 
①使われている生地の違い
生地の違い。
分かり易く言うと、
「伸びやすい⇔伸びにくい」
「(摩擦などの)耐久性がある⇔耐久性が普通」
「裏地に保温力のある生地が貼られている⇔単なるジャージ生地」
などです。
単純に「伸びにくい」生地の場合、着脱し難くて動き辛いです。
そして、「伸びにくい」生地は「保温力が低い」ものがほとんどです。
逆に「伸びやすい」生地の場合は、着脱しやすくて動きやすいです。
そして「保温力が高い裏地」が使われていることが多いです。
 
②パネル数
ダイビングスーツはいくつかの生地をつなぎ合わせて作られています。
この生地1つ1つをパネルと言い、接着・縫製されている継ぎ目から継ぎ目までのことですね。
これはカタログなどを見ていただけると分かりやすいのですが、安価なスーツのデザインは比較的単調です。
そして値段が上がるにつれ、デザインが複雑になる傾向にあります。
それには理由があり、デザイン性だけでパネル数を増やしているわけではなく、(例えば)曲げ伸ばしがよく発生する部分については伸縮性のある生地を、摩擦が起こりやすい部分には摩擦に強い生地を。
という感じで適材適所で生地が使われている結果、デザイン性が複雑になっているのです。
一見そうは見えないスーツ(下写真のZMX3)でも複雑なパネル構造をしているのです。
 

 
③耐久年数
これについては全てに当てはまらないのですが、唯一当てはまるのが、「比較的安価なスーツ=伸びにくい」ので耐久年数が短いという事です。
通常、良いものを丁寧に使用すればウエットスーツは約8~約10年使用できるのですが、それが約2~約3年という感じです。
 
例えるなら、(スーツのほとんどはゴムでできているので)輪ゴムをイメージして頂けると分かり易いと思います。
最初はどれだけ柔らかく、伸びやすい輪ゴムでも、使っているうちに伸びにくくなったりひび割れたりしてきますよね。
そして保管方法が悪ければ短期間で硬化してしまい、伸びなくなり、ちぎれてしまいます。
ダイビングスーツに関してもこれに近いことが言えるのです。
ダイビングスーツも使っているうちに徐々に伸びにくくなり、硬化していくのです。
そうなれば、着やすさも徐々に変わっていきますよね。
元々伸びやすい・着やすいスーツでこそ、約8年という期間で徐々に硬化し、伸びにくくなっていくのですが、それが元々伸びにくく、着難いスーツだった場合どうでしょう?先の耐久年数の意味がお分かりいただけたと思います。
 
そして、一般的な器材同様に、スーツも良いものがレンタルになっていることはありません。
上記のようなことを踏まえて、ノリスでは、中の上クラス。価格にすると9~10万円のウエットスーツが一番人気です。
 
ウエットスーツ
 
上記はドライスーツにもほぼあてはまります。ちなみにドライスーツで同レベル(中の上)のネオプレーンタイプのもので言いますと、耐久年数は10年以上です。
冒頭記載しましたが、ドライスーツの使用頻度はウエットスーツの約3倍です。

それだけの使用頻度でこの耐久年数を考えると、日本でダイビングをする人に取って、自分のドライスーツを持つという事がどれだけ重要なことかご理解いただけると思います。
 

ドライスーツの保温の原理

先に述べました「ドライスーツ」。
日本近海で1年間潜ると考えると、ウエットスーツは「真夏」のみ。ドライスーツは残りの期間使用します。
もちろん、ウエットスーツで1年中潜る事はできないか?と聞かれると、不可能ではありません。が、快適ではないですよね。
ダイビングは「我慢」「挑戦」等というリスクが高く快適と言えない状態で行うものではありません。それらとは対極にあるものを求めて行うのです。
逆にドライスーツで夏場もダイビングを・・・。これも同様ですよね、脱水症状や熱中症のリスクも出てきます。
ですので、快適に潜る事ができるように、スーツを使い分けるのがベストです。
ちなみに、流氷の下へもこのドライスーツで行くのですよ。
 
流氷ダイビング
 
さて、ドライスーツの保温の原理ですが、自分の体に合ったドライスーツを使用すること(首から上と手首から先以外濡れない(ドライである)事)を前提としてお話しますが、【専用インナー】を中心としたものをスーツの中に着込んで行います。場合によってはカイロを貼る事もあります。
その状態でレギュレーターからホースを介してつながったバルブからスーツ内に空気を送り込み、その空気が体温で暖まり、保温するのです。
※最近のカイロは多少濡れても急激に温度が上がる事はないそうなので、貼っている方は多いです。
 
状態としては、下着(肌着)の上にインナーなどを重ね着して、その上からスーツを着る感じです。靴下も履き、インナーは基本長袖長ズボンです。
 

 
ドライスーツの首部分はゴムでシーリングされる(水の浸入を防ぐ)ため、スキーのインナーの様に襟の高いものは着用できません。
もちろん、分厚さだけで保温力の無いものも意味がありません。
また、重ね着し過ぎると空気の抜けも悪くなりますので、薄手で保温力のあるものがベターで、更にこもった湿気をインナーの外に出してくれるものがベストです。

そうでないものを使用すると、インナーが湿気を吸収し不快になり、場合によっては逆に体温を奪われかねません。
これらを総合的に考えると、やはりスーツ専門メーカーのインナーがベストなのです。
 

ドライスーツを夏場に買う人が多い理由

このドラスーツ、もちろん年中買う事ができるのですが、意外とお買い上げいただく方が多い季節は、実は8~9月頃なのです。
一般的なウエットスーツシーズンにどうしてドライスーツを買う方が多いのか。
それは、夏も折り返しを過ぎたので、日本の海が一番楽しめる季節と言われる「秋」、そしてそれ以降の季節のダイビングを楽しうために、準備しておこう。という方が多いからなのです。
 
何度も言いますが、スキューバダイビングは我慢をして行うものではありません。あくまで「快適」を追求するのが大前提。
言い過ぎかもしれませんが、究極のリラクゼーションを目指してほしいくらいです。
ですので、日本を中心にダイビングをされようとする場合、ドライスーツは必須と言えるのです。
 

 
ドライスーツについてもお勧めはフルサイズオーダーです。
中にインナーを着るために既成サイズでもいくつかバリエーションが用意されています(例えば、身長170cmの方用の既成サイズは、細身・標準・少しふっくらのように数パターンあるのです)が、同じ身長体重でも体型は様々ですよね。人によっては、お尻部分が余分に余ってしまって見た目が悪くなったり、過去に運動をしていたりして太もも部分が太く、既成サイズだとインナーを着る「まち」がほとんどなくなってしまい、動き辛くなってしまったりということがあります。
このあたりは実際に採寸をしてみて、プロスタッフの目で既製でも問題ないか、オーダーにした方が良いかの判断をさせていただきます。
 
このドライスーツですが、大きく分けて「ネオプレーン」と「シェル」の2タイプに分けることができます。
(※メーカーによっては上半身シェル&下半身ネオプレーンというものもありますが、今回は紹介と下の写真のみで。)
インタークロスタイプドライスーツ

日本国内では、ネオプレーンタイプのドライスーツが大半を占めています。
ただ最近は、ノリスでもセカンドドライスーツとして、2着目にシェルタイプを持たれる方も多いです。
 

ネオプレーンタイプドライスーツの特徴は?


 
1着目のドライスーツとして選ばれる方が多いのがこのネオプレーンタイプです。耐久性や機能性に優れる上に、デザイン性でもシェルタイプより優れています。
特徴としては、
 
*一人で着脱ができないものが多い(前ファスナーのものもあります)
*シェルタイプと比べ、
 ・保温性が高い
 ・インナーも少なくて済む
 ・ドライスーツでの快適な季節が若干短い
 ・耐久性がある
 ・価格が若干安い
*スーツ衣替えの時期では、シェルタイプよりもウエイト量が増える事が多いが、その時期以外はウエイト量はシェルタイプより少なめになる
*深く潜るとスーツ生地内の気泡がつぶされ(圧縮され)るので、スーツ自体の保温性が若干落ちる

*生地に伸縮性がある
*オーダーで作る事が望ましく、見た目がスマート
など。
 

シェルタイプドライスーツの特徴は?


 
耐久性などではネオプレーンタイプより劣るものの、扱いが容易で動きやすい。
特徴としては、
 
*一人で着脱が可能
*ネオプレーンタイプと比べ、
 ・保温性が低い(基本は防水機能のみと思ってください)
 ・(保温性が低いので)より高い保温性を持ったインナーが必要
 ・ドライスーツでの快適な季節が若干長い
 ・耐久性が劣る
 ・価格が若干高い
*スーツの衣替えの時期では、ネオプレーンタイプよりもウエイト量は少なめだが、その時期以外はウエイト量はネオプレーンタイプより増える事が多い
*スーツ生地自体に保温力がほぼないので、深度によるスーツ自体の保温性は変わらない

*生地に伸縮性はほぼない
*様々なインナーを着るように設計されるため、見た目がルーズ
など。
 
これらを参考にドライスーツを選んでくださいね。
 

スーツのお供?たち

これまで紹介してきました、ウエットスーツ・ドライスーツ。いいものをサイズオーダーで手に入れるだけではまだ完璧とは言えません。
そこで、ダイビングスーツの「お供」ともいえる商品などをいくつか紹介したいと思います。
※個々の詳細はまた別の機会に。
 
①フード

 
 初心者コースであるオープンウォーターコースの学科でも学びますが、水中で熱は頭から奪われます。その割合は約70~75%とも言われています。じゃぁ、そこをカバーしなければ・・・。
そこで活躍するのがフードなのです。
スーツの所でも述べましたが、常夏のリゾートでも水温は体温よりも低いです。そこで潜るという事はドライスーツシーズンだけではなく、ウエットスーツシーズンでもフードは必要になってくるということですね。
 
②ウエイトベスト

 
 特にドライスーツ時、ウエイト量が増えるのでそれを分散させ、バランスをより保ちやすくしてくれる便利アイテムです。
着用場所(位置?)は、スーツの上、BCの下になります。
もちろん、ウエットスーツシーズンの使用も問題ありませんが、(特に)ウエットスーツシーズンに使うにあたっては注意が1つあります。
それは「腰にウエイトをするのが面倒なのでウエイトをベストのみする」ということをしてはいけない、ということです。
これは緊急時のクイックリリースができないので、NGということです。
 
③スーツ専用ハンガー
自宅などでスーツを保管する際、畳んだままではなく、ハンガーで吊って保管するのが良いのですが、その時、意外と困るのが「丁度良いハンガーがない」ということです。
ウエットスーツでもそこそこ重みがありますので、絶対NGなのは「針金ハンガー」ですね。
針金ハンガーですと、スーツの重みで肩付近が傷んでしまいます。
最近のスーツは立体裁断されており、スーツを着ていない状態で持ち上げても、立体的になっています。ウエットスーツですとそこに自分の体型の分身がある感じです。
それが畳んで保管して上に物を置いたり、針金ハンガーなどで吊ってしまうと、その良さが失われていってしまいます。
また、余談ではありますが、スーツの生地の中には気泡があるのですが、押さえつけたりしてしまうとその気泡がつぶれてしまい、スーツ自体の浮力や保温性が失われていきますし、生地のへたりを早める事になってしまうのです。
そういったことからもハンガーの肩にくる部分が太く、首付近のゴムを傷めないように作られたものがベストなのですが、正直なかなかありません。
そこで重宝するのが「ダイビングスーツ専用ハンガー」です。
 

 
ドライスーツを購入された方はお持ちの方が多いと思いますが、スーツを吊ることを目的として作られたハンガーです。
価格も約3千円とリーズナブル。
もちろんドライスーツだけでなく、ウエットスーツにも使用できるので、おすすめです。
 
④ドライスーツスペシャルティ(通称:ドライSP)
 文字通りドライスーツのみに該当するお供?なのですが、ダイビング指導団体のドライスーツの講習です。
実はこの講習、侮るなかれ。
「単に着るスーツが違うだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、ドライスーツでのダイビングは、正直ウエットスーツでのダイビングよりもテクニックを必要とします。
ドライスーツを着たまま潜っていくと、スーツのスクイズ(スーツ内と外の圧力差によって生じる締め付け)が発生します。
そのスクイズ緩和と保温のためにスーツ内に空気を送り込みます。
空気を送り込むという事は浮力がでてきますので、浮上時などには排気を必要とします。
そう、ドライスーツは一部、BCの役割も行っているのです。
そんな給気のタイミング、そして排気のタイミングをはじめ、水中でのテクニックはもちろん、着脱の仕方・使用後の手入れ・保管方法に至るまで学びますので、とても実用的な内容になっているんですよ。
 
そんなかんだで、器材同様、ダイビングスーツについても自分のものが一番という事ですね。
余談ではありますが、ウエットスーツの中に「ロングファスナータイプ」というものがあります。
下写真のように腕で言えば二の腕の方まで、足で言えば太ももの方までファスナーがあるのタイプです。背中のファスナーももちろん長いです。
 

 
目的はご想像の通り「着脱のしやすさ」にあるのですが、実はこのスーツ、元々はインストラクターやダイビングガイド向けに開発された商品なのです。
それが一般ダイバーに広がり、着脱に体力をかけたくない女性やミドル~シニア層のダイバーを中心に大人気となったのです。
どんなにいいスーツでも着脱時にストレスができてしまってはもったいないですからね。
 
「ファスナーがある=水が浸入しやすいのでは?」と思う方もおられるかもしれませんが、そこはもちろん対応済み。
裏地が折り返されて、スーツ内で当て布のようになり、水が侵入し難くなっています。
ファスナーの「折れ」についても、通常の手首足首のファスナーとは違い、特殊なものが使用されておりますので、そのあたりについてもご安心ください。
ノリスのお客さまにも人気あるスーツのうちの1つです。
 
さて、次回は「ダイブコンピュータは必要?」 です。← ← クリック
 

 

国内も海外もNORISのツアー!Cカード取得後の人生を楽しもう! ツアースケジュールをチェック!
 
Let's Try! Cカード取得 2020年初級ライセンス オープンウォーターダイバー(OWD)コース 今なら39,800円~。