まず大前提として、ダイビングの「器材レンタル」というものは
器材の必要性、重要性を認識したうえで、「器材を買いたいけれども今はどうしても買えない」という方のためにあるものだという事を念頭に置いておいてください。
そしてレンタル器材にはスタッフが使い古したものや、型落ち品、安価な器材が充てられています。
最新の高性能なものがレンタルになっていることはありません。
<目次> ※目次から気になる内容へジャンプができます
・器材に頼らざるを得ないダイビング
・レンタルと自分のものとの違い
・安全・快適度100%を目指して
・更なるメリット
・あなたが本当にダイビングを楽しみたいなら
器材に頼らざるを得ないダイビング
スキューバダイビングは、その教材にも出てくるのですが「器材中心型スポーツ」とも言われています。
ダイビングをはじめ、専用の器材(道具)を使用して行うスポーツの中に、たった数回行っただけでマスターできるものは存在しません。
ゴルフや野球、テニスやBMX、スノボ等すべてに同じ事が言えます。
ましてスキューバダイビングは通常人間が呼吸もできない水の中で行いますし、もちろん陸上の様に身動きも思い通りにはできません。
そして、器材のトラブルによる「万が一」が絶対にあってはならないスポーツです。
そんな特殊な環境下で行うダイビング、しかも専用の器材を複数(10種以上)身に着けて行う訳ですから、指導するダイビングプロショップでは、自分の器材を持つことを勧めないわけがありません。
レンタルと自分のものとの違い
器材1つ1つのレンタルと自分のものとの違いを述べるときりがありませんので、今回はその一部のみを紹介しますが、共通して言える事は、「自分の器材はレンタルよりも絶対に快適」だということです。
更に自分の器材ということは、同じものを毎回使用することになるので、使い方を早く覚えたり、感覚で覚える事ができるテクニックの習得速度にも影響してくるのです。
例えば(少しイメージしにくい方もおられるかもしれませんが)
BC(BCD/BCJ)という器材があります。
これはライフジャケットのように見える浮力調整具で、背部にはシリンダー(タンク)を取り付けます。
最近主流となっているBCは、シリンダー(タンク)を着けて背負った際にも腰に負担が少なく、且つ一体感があるもの。そしてよりフィットするように肩部分だけではなく、腰部分、その他も微調整できるものです。
メーカーによっては欧米人と比べると小柄で華奢な日本人女性に向けられた専用モデルもあるくらいです。
しかしレンタルの例で言いますと、S・M・L等のサイズ以外の調整がないものがあったりする上、BCに空気を入れたり出したりするインフレーターという部分の形状も複数にわたっています。
ボタンが2つあるもの、3つあるもの、同じ数でもボタンの配置を含むとその組み合わせは様々です。
更にまったく同じに見えても使用頻度などから空気の給排気量にも誤差があるのです。
もちろんレンタル器材は毎回同じものが借りられる保証はありませんし、使い古されたものが多いため、現行品よりも機能性・快適性は落ちます。
それに加え、使用前にスタッフが事前チェックを行うとはいえ、使用年数が経っているということと、器材に不慣れな方が使用する、そして使用後洗浄する。また自分のものではないので雑に扱う方もおられる。
これらの総合計で器材そのものの信頼度も落ちている可能性があるのです。
安全・快適度100%を目指して
上記の事も含め、レンタルと自分の器材で言えば、安全度は自分の器材の方が格段に高くなります。
極端な話ですが自動車も含め、ダイビングの器材も「100%絶対に安全」ということは言えません。
しかし、いつも同じ車(器材)を使用することで車幅やブレーキ・アクセルを感覚的に把握し、わずかな違和感・異変を察知できるようになってきます。そうすることで、トラブルを未然に防ぐことができる。
これがダイビング器材では、レンタルのものよりも自分のものが安全度が高くなるという理由の1つなのです。
もちろん、安全度が高くなればなるほど、余裕も生まれ、快適になることは言うまでもありません。
逆に言えば、どんなにいい器材でも不慣れな人が使えば、安全・快適度は保障されないのです。
そして、いい器材を手に入れてもそれを繰り返し使用しなければ意味がないのです。
それらを何度も何度も繰り返し使用して行くことで、「限りなく100%の安全・快適」につながってくるのです。
そんな限りなく100%に近い安全・快適の正反対に位置するのが、「毎回違うレンタルを使用する経験の浅いダイバー」です。
たった一人のトラブルが場合によっては自分だけでなく、一緒に潜っているバディやチームにも悪い影響を与えかねません。
ダイバーならその責任は最低限理解しておきましょう。
更なるメリット
このBCに限っての話ではありませんが、自分のものを繰り返し使用することで更なるメリットが生まれます。
上の車の例の際に使い慣れによる「感覚的把握」という話を出しましたが、BCにもこれがあるのです。
自分のBCはフィット感がよく、快適だということだけではなく、使い方を早く覚えたり、同じものを毎回使用するので、給排気の感覚もより早く習得することができます。
それにより、ダイビングでの最重要テクニックの1つとも言える中性浮力をマスターする為の第一段階をクリアすることができるのです。
中性浮力をマスターできれば、ダイビングの幅は格段に広がり、安全度も格段に上がります。そして環境にも他のダイバーにもやさしくすることができます。
あなたは、エントリー(水に入る)した水底がサンゴの群生だったら、それらを傷つけることなくホバリング(一定水深で自分を停止させる)できますか?
あなたは、着底後、砂や泥を巻き上げずに泳ぎだすことができますか?
あなたは、底が見えないほど深い所を安全に移動できますか?
潜降ロープが無いシチュエーションで、耳抜きが問題なくできる速度で安全に潜降することができますか?
浮上時、ロープ無しでも安全速度で浮上し、安全停止を行う事ができますか?
これら上記の内容は中性浮力講習のほんの一部です。
もちろん、自分のBCがなければ話になりません。
BCをはじめとする様々な器材を使い慣れる事によって起こるメリットは、技術面だけではなく、安全面を早く高めるということにも比例しているのです。
あなたが本当にダイビングを楽しみたいなら
ライセンスを取得する為の学科講習で使用する指導団体の教材にも器材の内容がとても沢山でてきます。
それはもちろん、器材が大切・必要だからです。
もしあなたが一度でも体験ダイビングなどをして、特に耳抜きや水に対するストレス、身体的にも問題なく潜ることができたというのなら、ライセンス取得コースの早い段階で自分の器材を購入される方が良いでしょう。
体験ダイビングをして、ライセンス取得コースに進まれているという事は、体験ダイビングで「楽しみ切れなかった」「もっと楽しみたい」ということですよね?
あなたはダイビングが楽しいという事も体感・理解しており、それを楽しむための身体的問題にも問題がありません。
そんなあなたがライセンスを取得し、その後もダイビングを快適に楽しんで続けていくためには、自分の器材が不可欠なのです。
もしあなたが一度もダイビングをしたことがない場合でも、耳抜きができ、身体的にも問題ない状態で、水に対する過度なストレスが無い場合、ダイビングを本当に楽しみたいのなら同じ事が言えます。
何度も言いますが、器材中心型スポーツであるダイビングは、自分に合った同じ器材を繰り返し使用していくことで、安全度も快適度も増していくスポーツなのです。
そして、自分の器材がある事で、ダイビングのスキル(テクニック)の習得も早くなりますので、レンタルと比べ、結果、金額的にも安くなるのです。
ただ、購入に関しては、受講しているお店で買うのが、同じ商品だったとしてもその後のメンテナンス等を考えても絶対おすすめです。
金額だけで判断してしまうと、その後のダイビングライフを棒に振ってしまう事もありますので、ご注意くださいね。
さて、次回は一見レンタルでもよさそうな「スーツについて」 です。← ← クリック